随意契約による交渉力の限界

 

ESP方式を導入する前に抱えていた課題は?

当市では、高圧施設は九州電力、低圧施設は九州電力と地元の新電力に振り分けて随意契約を結んでいました。前者はもちろん、後者とも地元企業支援の観点から長いお付き合いがあります。

一方で、随意契約では価格競争性を確保できないことに課題を感じていました。燃料費が高騰する中、現状の在り方が最適なのか疑問だったのです。

 

ESP方式を知ったきっかけと魅力を感じた点は?

ESP方式を知ったのは、「電力調達ガイド」が届いた2024年6月です。私自身も財政課で3年目を迎え、電力調達の課題が見えてきたタイミングだったので、見過ごしがちな営業資料にもなるべく目を通すようにしていました。

最も魅力的だったのは、市が長年課題を感じていた「価格競争性の確保」です。また、エネリンク様が選定方針に基づいて優良企業を選び、複数社の見積もりを取得してくれる点も、大きなメリットだと思いました。

 

関係者の早期巻き込みで
迅速な意思決定を実現

 

検討開始から導入に至るまでの経緯を教えてください。

2024年9月に顔合わせ、10月と11月に管理職を含めた打ち合わせを実施。市長・副市長にも情報共有をして、予算確保の見通しを立てました。

新電力には倒産・撤退のリスクが伴いますが、エネリンク様には最終保障になった際の差額補填があります。自治体として最も不安なデメリットが解消されることは、議会でも全面にアピールしました。

まずは慎重を期して、2025年4月より、高圧施設38カ所のうち1施設からスタートします。

早期から財政課長などの上長も一緒に話を聞いたことで、意思決定がスムーズに進みました。エネリンク様と常に情報交換をしながら、信頼関係のもと二人三脚で歩めたことも大きいですね。

契約方法(随契理由など)を入念に確認することは、準備段階で重要になるでしょう。

 

今後への期待と展望
段階的な拡大と環境配慮へ

 

ESP方式のメリットと今後に期待することは何ですか?

最大のメリットは価格競争性の確保と事務負担の軽減です。見積書の作成や比較検討など、電力契約に関わる事務作業をお任せできるのは、非常に助かります。

また、当市が本格的にカーボンニュートラルに取り組むフェーズが来た際に、環境に配慮した電力メニューの相談ができるのも心強いですね。

電力調達は専門性が高く、自治体職員だけで最適化するのは難しい分野です。課題解決につながる新しい取組を検討している自治体には、メリットを感じたら熱意を持って推進することをお勧めします。

 

(取材日:2025年3月3日)