入札不調で「電力難民」に!?
調達の危機と可能性の模索
ESP方式導入前の電力調達方法は?
電力自由化を機に高圧電力施設で入札方式を導入し、最大30%の料金削減につながるなど効果が出ていました。
しかし、コロナ禍やウクライナ情勢に伴う燃料費高騰で電力市場が急変し、高圧電力施設をまとめて入札に付しても応札がゼロに。関西電力との随意契約かつ市場価格連動型の高額なメニューで対応せざるを得ませんでした。
ESP方式を知ったきっかけを教えてください。
2024年に始まった「明石市民間提案制度」での提案です。
当初はESP方式についての知識がなく、周囲でも不安の声が上がっていましたが、非常に丁寧な説明でESP方式の仕組みから知ることができ、次第に庁内の理解も広がっていきました。
導入に至るまでの経緯を教えてください。
民間提案制度のプレゼン審査で評価され、詳細協議に進むことになりました(2024年11月)。
この時点では「効果検証が必要」との結論でしたが、95施設ごとに調査を行い、約3,600万円のコスト削減が見込めることを確認。CO2排出量削減効果についても検証した上で、12月20日に市長に報告し、導入が決定したという流れです。
検討段階や導入に向けての課題は?
各所管課との調整ですね。
ESP委託料の支払いは財務担当で統括しますが、電気料金の支払いは施設所管課が個別に行います。
新しい事業者への切り替えには実務的な調整が必要となりますので、円滑な導入に向けて準備を進めています。
カーボンニュートラル対応と
全施設への拡大を視野に
ESP方式のメリットと今後の展望を教えてください。
最大の利点はコスト削減と環境配慮の両立、電力調達業務の負担軽減も見えないコストダウンに繋がります。財務部門はコスト削減、環境部門はCO2削減を重視するなど意見の違いもありましたが、バランス型の提案で双方が納得できました。
1自治体では入札の成立が難しい状況でも、多くの小売電気事業者と取引があることもESP方式の強みだと思います。
今年度に高圧95施設での定供給と効果検証を進め、他施設への拡大も検討したいです。
他の自治体へのアドバイスをお願いします。
電力業界の複雑なルールや最新の事情を、自治体職員が完全に理解するのは難しいでしょう。
しかし、基本的なデータの準備は自治体側で可能なので、まずは現在の電力使用実績データを整理し、課題を明確にしましょう。財政状況や環境への姿勢は自治体によって異なるので、最も重視するポイントを見極めて検討を始めることをお勧めします。
(取材日:2025年3月17日)